一般的に「シナリオライター」は映画や小説などの脚本を書く人という印象がありますが、ゲームシナリオライターはゲームのストーリーや設定を考えて台本を作る人です。

この記事ではゲームシナリオライターの仕事内容、活躍の場などを解説。また、ゲームシナリオライターになるためのスキルや年収、キャリアアップなどについてもご紹介していきます。

そもそもシナリオライターとは

まずは、シナリオライターとはなにかを説明していきましょう。そもそも「シナリオ」とは、いつ、どこで、誰が、といった場面の構成や人物のセリフ、ト書きなどで構成されたテキストのことをいいます。これを書く人が「シナリオライター」です。シナリオライターには明確な定義はありません。

映画やテレビドラマの脚本を書く人もシナリオライターですし、テレビ番組の台本を執筆する人、ゲームのストーリーをつくる人もシナリオライターといいます。

シナリオライターってどんな仕事?

自分でキャラクターやストーリー、作品の世界観を作り上げ、文章として発表するノベル作家です。ひとつの作品にトコトン深く関われる仕事で、作品の評価がそのまま原稿料や収入にも影響していきます。1人で作品を作っていると思われがちですが、編集者と話し合って作品を作り上げていく部分も大きく、担当編集者によって作風が全く変わる作家もいます。ライト小説、歴史小説、推理小説、恋愛小説、私小説など、幅広いジャンルがあり、ジャンルを変えるときの資料集めに編集者が協力することも多いです。映像作品のシナリオライターとノベル作家は、もともとは全く違う職業でしたが、現在では特撮作品などのシナリオライターが、オリジナル作品の小説化を手掛けることもあります。

ノベル作家の収入源は、原稿料と出版物の印税となります。印税は出版社によって変わってきますが、一般的に10%程度です。原作のある作品の小説化や翻訳作品になるともらえる印税の割合は下がってきます。作品が注目されるとアニメ化やテレビドラマ化、映画化などされることもあり、そうなると知名度や収入はぐっと上がります。出版社によって映像化されやすいところと、そうではないところがあるので、新人賞への応募や売り込みの際に調べておくとよいでしょう。シナリオライターは、プランナーやディレクターからプロットの指定や登場人物/キャラクターの指定などがされた状態でシナリオの作成依頼が届きます。ノベル作家以上に共同作業となる部分が多く、シナリオライターが作成したシナリオに対して、プロデューサーやディレクターなどから意見が寄せられ、それを反映して改善しながらシナリオは練り上げられていきます。なおアニメや特撮など長期にわたって続くシリーズの場合、シリーズ全体のストーリー展開を考える「シリーズ構成」と、1話ごとの展開を書いていく「シナリオライター/脚本家」とに分かれます。シナリオライターとして経験を積んでから、シリーズ構成を任されるようになるのが一般的です。ノベル作家もシナリオライターも、どちらもフリーランスとして生計を立てるやり方が主流ですが、文筆業専門のエージェントに登録して支援を受けながら収入を確保する選択肢もあります。

シナリオライターが活躍する場所

シナリオライターは、さまざまな場所で活躍しています。ゲームやアニメ、ライトノベル業界で活躍しているシナリオライターについて見てみましょう。

ゲーム

ゲームのシナリオライターは、ほかの業界のシナリオライターに比べると執筆内容が異なります。メインストーリーに加えて、分岐によるサブストーリーも執筆しなければならないこと、また、画面上に表示されるキャラクターのセリフや会話をコンパクトかつ読みやすい文章にする必要があるためです。また、効果音に関する描写も文章化します。

ストーリー全体が膨大な世界となるため、論理的思考力(ロジカルシンキング)や構成力が求められます。なお、ゲームのシナリオライターは、ゲームプランナーが兼任するケースもあります。

アニメ

アニメ業界においてもシナリオライターは活躍しています。アニメのシナリオは、ドラマや舞台などのシナリオと異なり、監督やプロデューサーと打ち合わせしながらシナリオを作成するのが特徴です。作品全体のストーリーの流れと、1話ごとのストーリーの流れの両方を把握し、執筆する必要があります。また、キャラクターの造形なども指定します。

小説・ライトノベル

シナリオライターは、小説やライトノベルの分野に進出することもよくあります。これらの分野では、ゲームやアニメ業界などで培ったシナリオライターとしての経験や能力を活かし、文章のみで物語を執筆します。広義のシナリオライターという意味合いでは、活躍領域は他に映画やドラマの脚本を作成する仕事も指しています。ゲーム・アニメや映画など業界や場所によって仕事の違いはあるのでしょうか?

ゲームシナリオライターの仕事内容とは?他業界のシナリオライターとの違いは?

シナリオライターは、活躍の場や業界によって仕事内容に違いがあります。ここでは、ゲームのシナリオライターと、テレビや映画といった実写映像作品のシナリオライターを比較してみましょう。実写映像のシナリオは、ストーリーや登場人物セリフ、ト書きなど書き方に一定のルールがあります。

一方、ゲームのシナリオには書き方にルールはありません。また、シナリオライターが執筆しなければならない内容も異なります。実写映像では、ストーリー、登場人物のセリフ、情景設定などを執筆します。

一方、ゲームでは、ゲームならではのストーリーを構成しなければなりません。たとえば、大きなストーリーに、複数のサブストーリーを組み込まなければならず、構成力も求められます。

ゲームシナリオライターになるには?

ゲームシナリオライターになるにはいくつか方法があります。

ゲーム系専門学校に通う

最近では、専攻に「ゲームシナリオ」がある専門学校も複数あります。そういったゲームの専門学校に通うことで、ゲーム開発ならではのシナリオ制作のスキルを学ぶことができます。例えば、プレイヤーの選択によってストーリーが分岐し、異なるエンディングを迎えるようなロールプレイングゲームのシナリオ制作は、ゲームならではのスキルが必要と言えます。また、ゲームシナリオライターの求人は少ない傾向にありますが、ゲームの専門学校は、その求人が多いというメリットもあります。

ゲーム関連の学科がある大学に通う

放送や映像、芸術系の大学の中には、脚本家・シナリオライターを目指す学科を設置しているところもあります。そこでは、業界や仕事内容について広く学べる一方で、ゲームシナリオライターを目指す人にとっては、かかわりのない分野の学習も多いでしょう。ゲーム関連の学科がある大学を検討する場合は、4年間もの学びが必要なのかを見極めることが重要です。

通信講座を受講する

ゲームシナリオライター育成の通信講座もあります。学校に通う時間がない、近くに専門学校やシナリオ学校がない場合におすすめです。自分で作成したシナリオを添削してもらい、少しずつ力をつけることができます。

コンテストに応募

ゲームシナリオは一般公募していることもあります。コンテスト形式が多く、入賞すればゲームシナリオライターの道が開ける可能性があります。

独学で力をつけ、ゲーム業界に就職する

専門学校や大学などに通わなくても、ゲームシナリオライターになる道があります。その方法は、ゲームメーカーやゲーム制作会社に就職することです。ほとんどのケースで就職活動時にシナリオ(作品)を提出することになりますので、自身の作品を作っておきましょう。

ゲームシナリオライターに求められるスキルとは?

ゲームシナリオライターになりたい!という人は、次に挙げるスキルを身につけておくとよいでしょう。

文章力

シナリオライターに必要不可欠なスキルが「文章力」です。ゲームプレイヤーをゲームの世界に引き込むようなストーリーを書かなければなりません。また、テロップ(ゲーム画面に表示される文字)用の文章も作成しますが、その際にはコンパクトな文章が求められます。

さらに重要なのは文章で簡潔に指示し、意図やイメージを的確に伝えることです。ゲームシナリオライターが書いたシナリオは、ゲーム作品の設計図となります。ゲーム制作現場では、シナリオをもとに、デザイナー、CGクリエイター、音響などのスタッフがゲーム世界を作り上げます。ゲーム制作の進行をスムーズにするためにも、文章力は必須です。

柔軟な発想力

ゲームでは、プレイヤーの操作次第で展開や結末が変化します。ゲームの世界を広げ、プレイヤーを十分に楽しませることができるよう、柔軟な発想力が必要です。また、ほかのゲームと似てしまわないよう、唯一無二のオリジナルのストーリー、キャラクター設定など、斬新な発想も求められます。

構成力

構成力もゲームシナリオライターには重要なスキルです。全体のストーリーを見渡しながら、魅力的なサブストーリーを組み立てる必要があるためです。構成が悪ければ、プレイヤーが迷ったり、離脱してしまったりします。もちろん、面白さも欠けてしまいます。フローチャートを用いて構成し、よりよいゲームの流れを作る必要があります。

タスク管理能力

意外に思われるかもしれませんが、タスク管理能力も必要です。というのも、ゲームシナリオライターの仕事内容は、ゲームのテーマ設定、ストーリー、プロット作成、シナリオ作成と多岐にわたるためです。効率的に仕事を行えるよう、しっかりとしたタスク管理を身につけましょう。

シナリオライター(ノベル作家)のキャリアステップと年収イメージ

ゲームシナリオライターの平均的な年収はおよそ250万から400万円程度です。ゲームプロデューサーやゲームディレクター、ゲームデザイナーらと比べるとやや低い傾向にあります。ただし、大作のRPGなどに関われるような腕利きになれば1000万も夢ではないでしょう。年収を上げていくには、腕が認められ、個人としての名前が知られてくることが重要です。ゲームシナリオライターの仕事はゲームのヒットに大きく関わるので、大作を手掛けるような実力がついてくれば、その分収入も増えてきます。とはいえ、関われるゲームの予算規模が小さかったり、シナリオが重視されていないジャンルを作っている会社では、どうしても大作に関わって経験を積んだり、実力をつけて個人の名前を売っていくことは難しいでしょう。その場合は、転職や、フリーランスとして働くなどして、自分の実力が十分に発揮できる場所に身をおくことが重要です。ただし、転職したり、フリーランスになれば年収があがるわけではないので、日々の仕事でのスキルアップのための努力が大切です。

ゲームシナリオライターのキャリアステップと年収イメージ

ゲームシナリオライターの年収は、企業に所属している場合と、フリーランスの場合で大きな違いがありますが、300〜500万円程度といわれています。ここでは、ゲームシナリオライターのキャリアステップと年収を見ていきましょう。

ゲーム会社でシナリオライターからディレクターに

自分の考えるストーリーを形にしたいという人におすすめのキャリアステップは、シナリオライターからディレクターへの転身です。ゲーム会社のディレクターの平均年収は520万円程度といわれていますので、年収アップも見込めます。

ゲーム会社でシナリオライターからプランナーに

シナリオライターからプランナーへのキャリアアップなら、シナリオライターのスキルを生かすことができます。また、シナリオ以外にもゲームの企画など、立ち上げから携わることができるのも魅力です。ゲームプランナーの平均年収は約500万円で、キャリアをさらに積めば、より高い年収を得られます。

フリーランスになる

フリーランスになれば、会社に縛られることなく幅広い案件を手がけることが可能です。ただし、物量をこなしたり、高いクオリティが必要となります。人気シナリオライターになれば、500万円以上の年収を稼ぐことができます。

シナリオライターを目指そう!

文章力のみならず、構成力や発想力といったスキルが求められるシナリオライター。日頃からスキル・センスを磨き、業界で活躍できるシナリオライターを目指しましょう。

ゲームシナリオライターを目指すならこのコース

ゲームシナリオライターを目指すなら、バンタンゲームアカデミーの以下のコースがおすすめです。実践的なカリキュラムで、高いスキルをもったゲームシナリオライターを目指しましょう。

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