12月14日、バンタンゲームアカデミー福岡校で、業界の第一線で活躍するクリエイターに直接技術指導や仕事の内容について話を聞く体験イベントが開催されました。
講師として招かれたのは<伊坂わさび>さんです。
ゲーム作品でキャラクターデザインや原画、背景画など幅広く活躍しています。
バンタンゲームアカデミー福岡校でキャラクターデザイナー専攻の講師を務める<ロンザエモン>さんも加わり、イラストの技術や業界の現場の話が繰り広げられました。
【第1部:ライブペイントをしながらの質疑応答】
第1部では、伊坂さんがCLIP STUDIOを使用し、温室内で植物の傘を差す着物姿の女の子を描くライブペイントが行われました。
上から降り注ぐ光が印象的な柔らかな雰囲気の作品です。
・伊坂わさびさんの作品
ロンザエモンさんは伊坂さんへの問いかけで、制作技術の話を掘り下げていって下さいました。
ロンザエモンさんが、伊坂さんのイラスト制作のポイントについて尋ねると、「キャラクターのシルエットを目立たせるために影の濃淡をつけていきます。全体のイラストの配置、色味を見ながら塗り重ねています」と伊坂さん。
体験イベントに参加した学生さんからも質問が投げかけられました。
「室内の設定でなぜ傘を持っているのですか?」
「可愛いから。葉っぱを集めた傘ってかわいいだろうなって。作品を描く時は、設定や世界観、リアルさも大事ですが、自分の感性も大事ですよ」という回答に、会場が和みました。
また他にも「立体感をつかめないと上手く描けないのですが、どうしたらいいですか?」と質問があった際には「私も立体感を出すのが苦手でした。解決策として、下塗りのときに凹凸のない状態から始めます。それから影を入れていくグリザイユ画法を使います」と説明しながら、シンプルな図形で立体感の出し方を実演して下さいました。
・正面の男性はロンザエモン講師
伊坂さんは1日近く頭の中で書きたい絵をイメージし、それに近い画像を探して集め、資料やキーワードを並べているそうです。その後に制作をしているとの事でした。
伊坂さんの絵の光と影が自然に見えるのは、光の当たり方、反射、影の落ち方などを細かく観察しているからだと伝わってきます。
描きたいイラストを実現するためにイメージを突き詰める姿に、参加者たちはプロ意識を感じていました。
「ゲーム会社では影の入れ方やブラシの使い方をレギュレーションで指定されることも多いんです」と伊坂さん。
「規格通りに描くためには、物の凹凸をしっかり理解していないと難しい。消しゴムなど身近なものをデッサンして光の当たり方や、立体の表現を学ぶのも一つの方法です」と、上達の方法をアドバイスしました。
「専門学校に行っていてよかったですか?」という質問に対しては、
「それはすごくよかったです。本気で描きたいという仲間と出会えて、一緒に絵を続けていけたことが大きかった。友達ができるというのはとても大事です。模範のような回答になりましたね」と、茶目っ気たっぷりに答えてくれました。
【第2部:実践的な添削会】
第2部では、学生さんが持ってきている作品への添削が行われました。
1枚目はキャラクターと武器の絵でした。
伊坂さんは色のコントラストを強め、キャラクターの配置を調整。製品化されたときに、キャラクター紹介の文字が入るスペースも考慮した構図のアドバイスをしました。
「衣服と武器の素材感、時代感もバランスが取れるように意識してみようか」と、具体的に修正点を示していきました。「キャラクターの顔のタッチと、衣服や素材のリアル感とデフォルメ加減をどうするか、その塩梅を見つけることが大切です」と、プロならではのポイントを伝授しました。
2枚目は、モンスターの絵でした。
モンスターの目元を強調するために陰影を入れ、光の当たる方向を見て全体的にコントラストを強める手入れをしました。モンスターに見違えるほどの迫力が増しました。さらに、モンスターの固い部分にヒビを入れることで、経年感を出すアイデアも披露していました。
また、ゲーム業界の制作現場の話も展開。
「モンスターや武器は、まだ描く人が少ないので描ける人は重宝されやすいんです」と業界の裏話も飛び出しました。アートディレクターやディレクター、イラストレーターの仕事内容など、現場のリアルな話題に参加者は質問を重ね、熱心に耳を傾けました。
体験イベントの最後に伊坂さんは「絵は楽しみましょう。苦しくなったら先生に相談してください!」と締めくくりました。
実践的な技術指導と現場の生の声を聞ける貴重な3時間に、参加した参加者たちは多くの学びを得た様子でした。
バンタンゲームアカデミー福岡校では現役プロ講師をお呼びし体験イベントを開催しています。バンタンゲームアカデミーに興味がある方やイラスト業界に興味がある方は是非、体験イベントにいらっしゃって下さい!