バンタンゲームアカデミーでは、バンタンへの入学を検討中の中高生へ向けた体験講座を実施しています。今回は人気VTuberのファム・ファタル先生をお招きして、約4時間にわたるイラスト教室を開催しました。
実技講座の多くはプロの現場で仕事をする講師が教室で指導を行いますが、今回はVTuberの先生ということで、すべてオンラインで行われ、カメラとマイクを通して先生と教室をつなぎ、ご指導をいただきました。
▪体験講座を前にトークショーからスタート
まずは、ファム・ファタル先生の自己紹介を兼ねたトークショーから始まります。
──頭の中にあることを表現できれば、それだけで立派なイラストレーターだといえます。
そう語るファム・ファタル先生は、以前はノンクリエイティブ職で働き、2021年に友人に誘われる形でVTuberとしてデビュー。3年間で投稿動画数は延べ500本以上、チャンネル登録者数は75,000人にまで成長しました。
当初は兼業としてVTuberとなり、登録者数が1万人増えた頃から依頼数が増えたといいます。生活できるほどに収入を得られたことで独立を決め、子どもの頃から夢だったイラストレーターや歌手に本格的に挑戦しようと考えた、と話します。
将来イラストレーターとして生活することを目指す中高生に対しては、「私の例は一発屋みたいなやり方だから、参考にならないかもしれない」といいつつも、どうやらそこに再現性のあるヒントがあるようです。
・プロとして生活するために、大切なことは人脈・信用・技量
ファム・ファタル先生によれば、イラストレーターとして生活していくうえで大切なことは「人脈」「技量」「信用」の3つです。
仕事を発注する側が最も怖いと感じることは、途中で音信不通になってしまうこと。社会人経験があったからこそ、発注する側の感覚がわかるのだといいます。VTuberとしてコンスタントに投稿を続けてきたことにより、「信用」が生まれたようです。
「人脈」の面では、そもそも自分のことを知ってもらえないと依頼はありません。ファム・ファタル先生の場合は、SNSでの露出が高まって、覚えてもらえたことが大きく、たまたま投稿がバズったことも理由だといいます。
そして「技量」とは、発注者から依頼してもらえる画力のこと。これは仕事を通して同じジャンルの絵を描き続けているからこそ成長でき、それは常に磨き続けることが大事だといいます。
そして「信用」「人脈」「技量」の3つはバンタンゲームアカデミーに通って得られると話します。
「私はイラストを描く以外にも歌が歌えたり色んな方面からアピールが出来て運よくバズって知名度が上がりました。そんな一か八かの運試しをみんなにやれとは言わないわ。コツコツやって確実に成功に近づける選択肢の一つとしてバンタンゲームアカデミーもあると思います。」
クリエイターが人脈を作るうえで大切なポートフォリオの作り方なども学べ、技量については「現役のプロクリエイターから最新の知識を直伝してもらえる」という点です。
「私もバンタンゲームアカデミーさんから出演のお話が来た時にたくさん調べてバンタンゲームアカデミーさんのカリキュラム、システムならイラストレーターを目指すみんなに薦めても大丈夫だと思って依頼を受けてますから。そこは安心してね。」
と参加者を一番に考えて登壇しているとお話ししてくださっておりました。
中でも「信用」という面は、絵を描くことに注力しすぎるあまり、おろそかにしてしまう人が意外にも多いのだといいます。取引先とどのように交渉すればよいのか、きちんとした敬語が使えるか、というのもひとつです。
好きな絵を1枚描ければイラストレーターだといえますが、「稼げる」「楽しくやる」「安定したい」など、どのようなイラストレーターになるかはあなた次第。
そこにバンタンゲームアカデミーで学ぶ、という選択肢を加えてみてください、と締めくくりました。
・質疑応答
教室は中学生・高校生で分かれた形で実施され、それぞれの教室から質問があり、そのいくつかをここでご紹介します。
・これまでで印象に残っている仕事は?
「イラストと動画の両方、そしてディレクションの仕事をひとりで全部こなしたときです。これには工程の全体を見通す力が必要で、これまでの社会人経験が役立っています。」
・イラスト制作のスピードはどのくらいですか?
「私はイラストを描くのがかなり早いほうで、薄利多売のスタイルだと思っています。問題があるとすればこのやり方は技量の成長が遅いので、ステップアップを意識する際は実力の120%を込めた作品を作ることにしています。死ぬ気で描いたあとは、次の作品のレベルが上がります。」
このようにいくつかの質問にお答えいただき、大きな拍手でトークショーが終了しました。
▪体験講座「デジタルイラストで誰もが悩む人物の着彩」
バンタンの実習ではプロの講師が教室で指導を行うことがほとんどですが、今回は先生がVTuberということで、バンタンゲームアカデミーのメンバーたちが授業をサポートします。
テーマは「デジタルイラストで誰もが悩む人物の着彩」。
パソコンの前にペンタブがずらりと並び、それぞれのモニターには「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」というソフトに、ファム・ファタル先生が描いた下絵が映し出されており、受講生たちはここから作業に取り掛かります。
「このソフトを使ったことある人はどのくらいいますか?」と投げかけると、今回が初めて、という人もちらほらといましたが、いざ使ってみるとスムーズに使える人が多く、「さすがデジタルネイティブ世代ですね。」とファム・ファタル先生。
まずは表示された下絵に対してレイヤーを作成し、その上から下塗りをしていきます。
「納品するときは塗り残しがないように!」といい、塗り残しの確認方法などをはじめとするソフトの使い方はもちろん、ふだん先生が仕事を進めるうえでのコツや心構えを交えながら進めていきます。
そして下塗りを終えると、肌、服、口、眉毛、目などのパーツごとにレイヤーを作成していきます。その順番としては体のパーツの中で一番前に出ているのが髪の毛。肌は服の下で、目などのパーツはさらにその下、という具合に並べていきます。
・先生の得意分野を中心に作業のコツを伝授
ファム・ファタル先生の得意分野は、アニメ塗りや厚塗り。ご自身がメイクをするのが好きなことから、それを反映するイラストを描くことが多く、授業にはそのエッセンスがちりばめられています。
「作業中にどんどん話していくので、自分の塗り方がある人はそのやり方で進めて、もし私の話で使えると思ったものは、ぜひ取り入れてくださいね!」と先生。
「ベースの肌の色相とチークの色相があまりにも違うとダサいです。色選びはベースを中心に選んでいくことが大事。」
「これから白目を塗りますが、人の目は完全な白ではないですよね。それは歯も同じことで、決してピュアホワイトではないので、ちょっとだけグレーを使います。」
そんなふうにイラストに対する心構えやコツなどをお話しいただくだけでなく、仕事という面でもリアルな話を教えてくださいました。
──デジタルイラストのよいところは直せるところです。同時に、悪いところはいくらでも直せてしまうところでもあるので、キャンバスを小さくして「全体で見る」ことを意識します。納期やクライアントのニーズに合わせるために自分のこだわりを妥協することもあります。それらしく魅せる技術も大事です。
教室の様子は先生もカメラを通して知ることができ、受講生が少しでもつまずくと、メンバーたちがサポートして現場をアシスト。リモートでの授業を無事に進めることができました。
参加してくださった中高生や付き添いの保護者のみなさま、そしてファム・ファタル先生、ありがとうございました!