【東京校】<卒業生講演会>ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 パートナー・パブリッシング本部 満田 健太郎様講演会を実施。「オンラインゲーム運営のお仕事」とは?
ゲームアカデミーでは、業界で活躍するプロフェッショナルによる実践的な授業を行っています。今回は、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 パートナー・パブリッシング本部 満田 健太郎さんによる講演会をレポート。同社は、「パズル&ドラゴンズ」、「ニンジャラ」、MMORPG「ラグナロクオンライン」など、数々の人気作を手掛けています。
<満田 健太郎さんPROFILE>
鹿児島出身。2003年に現ゲームプログラマー専攻入学後、2006年卒業。同年、ガンホー・オンライン・エンターテイメントにご入社。2018年頃まで、「ラグナロクオンライン」に従事。現在は、ディレクター補佐、開発会社との協議調整などの業務に携わられています。
満田さん「風通しのいい会社だと思います。服装も、ビジネスカジュアルで良いですし、上司との距離も近く、和気あいあいとした雰囲気です。居心地がとても良いです。」
<学生時代のエピソード。就活中に、「やりたいこと」が判明!>
インタビュアーは、ゲーム・アニメライター専攻の斎藤ゆうすけ講師が務めます。
――― 在学時は、どのような学生さんでしたか?
満田さん「実は、プログラマーになろうと思って面接を受けていました。でも、ある会社の面接で、『ゲームもオンライン化が進むので、プレイヤーがコミュニケーションを取る為の土台作りをしたい』と伝えると、『それなら、ウチに入社しない方がいい』と断言されたんです。オンラインゲームで企画をしたり、コミュニケーションを取ったりすることが本質的にしたかったことだ、と就職活動中に気付きました。当時、やりたいことを周りに伝えるのが恥ずかしく、一人で決めてしまっていたんですが、もっと周囲と相談すべきだったと思います」
――― 他人からの評価は、自分の見方とは、また違ったりしますよね。
満田さん「そうですね。目標を新たに、企業のインターンにエントリーを始めました。ですが、募集要綱がデザイナー・プログラマーでした。そこで、講師に『諦めたほうがいいですか?』と相談すると、『とりあえず出しなさい』とアドバイスされました。そうしたら、通りました。後に、担当者に採用された理由を聞くと、面白そうで素養がありそうだからと言っていただけました。就職は、出会いかなと思います」
――― 入社時は、どのようなお仕事だったのですか?
「ゲームマスターという役職です。例えるなら、テーマパークでも、キャストと呼ばれる人がそれぞれのエリアで役割を演じていますよね?同じように、ゲーム内でお客さまとコミュニケーションを取るキャスト役です」
――― オンラインゲームに運営側の人が入って、盛り上げることが結構ありましたよね。
満田さん「直接お客さまと話すことができますし、反応も見られます。リアルタイムで、コメントを返さないといけなかったのですが、コミュニケーション能力も鍛えられました。その経験は、今に活かされていると感じます」
――― ゲームプランナーやディレクターに興味を持つメンバーも多いです。一方で、仕事内容が、よく分からないという声も多いです。実際に、どのようなスキルが求められますか。
<ゲームプランナーは、オールラウンダー>
満田さん「ゲームプランナーは、どのようなゲームにしていくかを考え、プログラマーやデザイナーに動いてもらうための『仕様』を考えるお仕事です。作り上げた仕様を開発会社と調整し形にしていきます。また、お客さまにゲームを届けたあとも、評価を分析し、改善していく仕事です。いわば、ゲームにおけるオールラウンダーです」
<ゲームプランナーに求められるスキル=企画力、情報収集分析力、折衝力>
満田さん「企画する力だけでなく、自分がものを知らないと考えられないので、情報収集・分析力も大切です。また、最後に、スタッフ間を調整する折衝力も求められます」。また、情報収集では、さまざまなニュースやメディアを読むことを意識されているそう。「他社様でも、色々なイベントを仕掛けたり、販売物を出したりしますが、それらの経緯についても考えるようにしています」。
<ゲームディレクターは、リーダー>
「ゲームディレクターとは、ゲームタイトルにおけるリーダーを指します。ゲームタイトルに関する仕様の最終決定を行います。プロジェクト全体に関わるスタッフの調整、スケジュール管理も含めて、プロジェクト全体の進むべき方向を定める『要』です」。
<ゲームディレクターに求められるスキル=マネジメント能力、コミュニケーション能力>
「マネジメント能力をかみ砕くと、スタッフの向き・不向きを見極めて、仕事を的確に振っていくスキルです。各スタッフのモチベーションを保つという意味合いもあります。また、ゲームのイメージや、軸となるコンセプトを、スタッフに論理的に、懇切丁寧に語る必要があります」
――― 同感です。定例会で、ゲームディレクターが、チームの長所を見つけて褒めているほうが、全体として上手くいっています。ダメなところを指摘するのではなく、良かったところを評価すると、往々にしてチームは伸びますよね。
<企画完成の流れとは?>
―― では、ゲームプランナーが、企画・コンセプトを立案してから、完成までのフローについて教えてください。
満田さん「プロセスとしては、①企画コンセプト考案⇒②アイデアの具現化⇒③ゲームシステムへの落とし込み、という3ステップに分かれています。
ゲーム考えるとき、一般的に『②アイデアの具現化』から考えてしまうことが多いです。以前、『ポトリス』という戦車ゲーム内でイベントを企画したことがありました。企画の際に、アイデアから考えてしまったのですが……上司に『プレイヤーの間口を広げたいのか、たくさんの既存プレイヤーに遊んでもらいたいのか、このイベントのゴールは何?』と聞かれたことを覚えています。まずは、目標を設定しなくてはいけません。何かを企画する際は、誰に向けているのか、決めたうえで実現するために何をするのかを考えましょう」
――― 企画するうえで、最初のコンセプトに立ち戻ることは、大事ですよね。
満田さん「そうですね。企画や仕様を作成していると、アイデアが思い浮かぶことが多々あります。判断に迷うときは、『目指した内容だったのか』を精査するため、スタート地点に立ち戻ってみましょう」
<オンラインゲームの運用方法について>
また、オンラインゲーム運営には、たくさんの仕事が存在します。大まかに分けて……
1)スケジュール作成、不具合対応、メンテナンス、検証
2)カルチャライズ、企画、ゲーム内商品開発
3)マーケティング、キャンペーン、KPI分析(※目標達成のために、指標を設けて分析する手法)
4)ユーザー動向調整、告知作成、カスタマー対応
などなど……。「やらないといけないことがとても多いです。マルチなスキルが求められますが、もちろん一人でやっている訳ではありません。特に、スケジュール管理が得意な人もいれば、メンテナンスが得意な人もいるので、仕事を振り分けています」と解説。
<「ローカライズ」と「カルチャライズ」の違いとは?>
満田さん「ローカライズとは、他の国や地域で販売するために必要な改変を指し、言語の翻訳を指す場合が多いです。対して、地域や文化によって、コンテンツを改変することを『カルチャライズ』と呼びます。景表法に合わせた販売商品の調整や、イラスト・グラフィックの変更も、カルチャライズに含まれています。各国のお客さまニーズに応えていくことは、運営していくなかで、非常に重要な作業です」
<ゲーム業界で働くうえで、重要なことは?>
満田さん「お客さまが求めるトレンドも、どんどん変わっていきます。常に最新の情報を収集する習慣を持ちましょう。そして見聞を広げることが大切です。ゲームに限らず、さまざまなジャンルを見て聞いて、体験しましょう。自分の中にたくさんの引き出しをつくると、企画を出す際のアイデアストックになったりもします」
――― 最後に、入学予定、入学を検討されている受講生に向けて、ゲームアカデミーで学ぶ心構えを教えてください。
「ポイントは2つです。まずは、主体性を持ちましょう。2年で学ぶとしても、最終学年は就職活動をするので、実質的に学べるのは1年くらいしかありません。想像以上に、少ないですよね?入学されたら、学生としてではなく、社会人としての準備期間だと思って行動してください。もう1つは、何事にも挑戦しましょう。仕事では、経験が無いことや興味がないことにも、取り組む場面があります。在学中に、これまで避けてきたことや、興味がなかったことにもぜひ挑戦してみましょう。僕が業界を志すキッカケも、ゲーム業界で一人でも仕事ができる職種はないか?と考えて、プログラマーを選んだほど、コミュニケーションが苦手でした。でも、仕事は一人では動きません。みんなで一緒に動くことが、すごく大事です。ぜひ、在学中から頑張ってください」とエールを送りました。
現役で活躍するプロフェッショナル講師に、業界のリアルや、最新情報を教えてもらえるのも、ゲームアカデミーで学ぶ魅力のひとつです。
満田様貴重なお話ありがとうございました!