『Fate/Grand Order』、『キングダムハーツ』、『ディシディア ファイナルファンタジー』などに携わり、現在はファーレンハイト213の代表取締役・塩川洋介講師が、「ディレクター養成ゼミ」を開校。
第2回ゼミの内容を、ダイジェストでレポートします。
テーマは「実戦で使える、“強み”を創るツールを手に入れよう」。
<課題>
「感触」をテーマに、実際に自分たちで制作するためのゲーム企画を、チームで考えよう。
<ルール>
制限時間は60分。チームで1つの企画を考え、2分で発表します。
60分のグループワークでは、「コンセプト」を中心に議論を進めていきます。ホワイドボードや、方眼紙に書き出すチームも。
塩川講師「あらかじめタイムラインを決めてしまったほうが、安心して進められます。また、議論を広げる時間と、まとめる時間とを意識していくといいと思います」とアドバイス。
メンバー同士意見を出し合い、全チームが企画を決めました。
<Bチーム>
「コンセプトは、整理された部屋を散らかしてストレスを発散するVRゲーム『悲劇的ビフォーアフター』です。スコアアタック制で、本を落としたり、ベッドを荒らしたりした分だけ加点されます。部屋のビフォー、アフターも表示します」
<Cチーム>
「『言霊ガチ勢』のコンセプトは、『ビームって言ったら、ビームが出るゲーム』。バトル中の操作はすべて口頭での命令で、言葉による操作で非現実的な万能感を楽しめます」
<Aチーム>
「コンセプトは『推しと過ごす日常』で、VR上で推しと日常の一部を共有するゲームです。触りたいけれど触れない、もどかしさやワクワクドキドキ感にフォーカスを当てます。普段は見られない、日常の推しを見られることに価値を感じられるのではないでしょうか」
塩川講師「的を射ているコンセプトは多いですが、1回目の課題で0点だったのが、現状0.1点になったという印象です。
まず、Bチームは的を射ていますが、1000人いたら500人が『感触』というテーマから破壊を導き出すことができます。また、単にまとまりがいいだけになってしまっています。Cチームは難易度が高く、共感を得られる可能性が非常に低いです。なおかつ、口を使った指示で『感触』を得られるんでしたっけ?という疑問が残ります。
感触というテーマから、多くの人はプラスの発想で、触ったときのことを考えがちですが、Aチームのように『感触がない』も逆転の発想としてあり得ます。コンセプトを『触れない』に落とし込んだのはいいですが、もう少し深掘りしてほしいです」と、一つひとつ丁寧にフィードバックしてきます。
<実戦で求められる、ゲームの“強み”とは?>
「必要なのは、『ゲームの売りとなる斬新な要素』ではありません。ゲームを遊ばなくても刺さるメッセージです。もちろん、ゲームに売りは必要ですし、強みがなければお客さんに見向きもされません」
<売り=強み?>
「もう一つ考えて欲しいのは、ゲームの売り=ゲームの強み、なのでしょうか?売りというのは、お客さんが買う際に、決め手と感じられる要素です。対して強みとは、自分たちが強みとして打ち出していきたいことであり、ゲームを遊ばなくても刺さるメッセージ=『コンセプト』です。コンセプトは、チームへは直接伝えるものですが、お客さんへは直接は伝えず感じさせるものです」
<何弁当を作るか?>
「コンビニの弁当に、『プロのシェフ監修』といったシールが貼ってあると、権威を感じますよね?有名シェフのシールが貼ってあることと、弁当の中身とは両輪です。何弁当を作るかに正解はありません。親子丼弁当でも、何だっていいんです。でも、謎弁当にはお客さんはいませんし、勝算は0です」
ゼミを受けてみて、メンバーからは……「今回学んだことは、ものを作るときの視点として活用できますし、ゲームだけのことではないと感じました」「第一回目で学んだことも、プロの視点を得られてより深く考えられています」といった声が聞かれました。着実に成長を感じられる「ディレクター養成ゼミ」。
次回予告として、塩川講師よりヒントをいただきました。
「ディレクションとは弁当づくりのようなものだ。何弁当かを決めたならば、そこに何をいれるかこそが問題だ」。
メンバーたちの弁当作りを定点観測すべく、次回ゼミもレポート予定です。
ぜひご期待ください。