ファーストリテイリングと一緒に作る「私たちが思う、アンステレオタイプな未来のニュースタイル」始動。選抜学生が参加した「思考のワーク」DAY2を完全レポート!

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今回お届けするのは、「思考のワーク」です。

バンタン各スクールに在籍する基礎科(1年)生が、選抜制で参加した特別プログラムをダイジェストでレポートします。

 

<1.そもそも、思考のワークってなに?>

「考え方」のスキルを磨き、今後の活動へ活かすことを目指す特別プログラム。

アイデアを創造する考え方や方法を学び、企業が考える課題をチームで解決する2日間(各6時間)のワークショップです。

バンタン生が、UNIQLOやGUを展開するファーストリテイリングの現役社員と共同で、世の中の「ステレオタイプ」にまつわるテーマに対し、新しいサービスやプロダクトを考えます。最終アウトプットは、アイデアによってUNIQLO店舗での展示、広告の可能性もあるという大規模なプロジェクトです。

 

 

<ファシリテーターは、ミミクリデザイン!>

ワークショップのファシリテーターを務めるのは、ミミクリデザインの猫田耳子さん、田中まりなさん。

ミミクリデザインは、最新の学術研究を取り入れたワークショップデザインの方法論を使い、新しい価値創造のプロジェクトをファシリテートするプロフェッショナルチーム。「創造性の土壌を耕す」ことを信念に掲げ、商品開発、人材育成、組織開発などの事業を行っています。

 

 

<2.DAY2までの事前課題>

今回レポートするのは、2日目ですが1日目のワークショップでは、このような課題に取り組んできました。

「みかたのデザイン」「問いのデザイン」「スタンスのデザイン」アイディアを考える上で重要な3つの考え方を学び、更にアイディアのベースとなるテーマをグループごとに、4つの中からひとつを選択してもらいました。「これからのクリエイティブって一体なんだろう?」「ファッションのブランドが取り組めるサステナビリティとは?」「性別と服・年齢と新たな関係性」「アフターコロナ:これからの生活様式下で生まれるもの」です。

それら踏まえてDAY2までに事前課題として、「誰に対して、どんなステレオタイプを、どのようにアンステレオタイプにするか」を個々で考えてもらいました。

 

 

<3.みかたのデザイン>

ファシリテーター・猫田さん「次にキーとなるのは、『私たちが作りたいステレオタイプな未来』は、いったい『誰』を幸せにするのでしょうか?なるべく具体的に考えてみましょう」

・この人はどのような人ですか?

・この人の悩み、望みは何ですか?

・この人の口癖、よく話すトピックはなにですか?

・「アンステレオタイプな未来」によって、この人の行動、考え方はどのように変わるのでしょうか?

といった問いが立てられています。ここで指す『誰』は、ペルソナとも呼ばれ、具体的に描ければ描けるほど良いとされています。

 

 

<「グループ4」のディスカッションに潜入>

今回は、数あるグループの中でも「グループ4」のディスカッションに密着!

どのように、思考を深めているのでしょうか……?

村松さん「社会には、色んな人がいるけれど、コロナ禍で付き合える人が狭まっているよね。見えない誰かがいる、ということも考えなくていい状況になってしまっている。でも、見えない誰かともコミュニケーションが取れたほうがいいよね?」

吉川さん「行政ではなくて、ユニクロなど身近な企業でやれるといい」

村松さん「私は、積み木をもらって、店舗でドミノを作るというアイデアを考えました。でも、誰を幸せにするかな?と考えると、限定的になる気がします。誰かの悩みを解決するという話ではないかも……」と、意見を伝え合います。

そこへ、ファシリテーター猫田さんがジョイン。「グループ4は、これまでのワークショップでも『オンラインコミュニケーションでは、偽名を名乗ってもいい』などユニークなアイデアが出ていますね。単に気付きを与えるだけでは、『面白いアイデアだね』で終わってしまいます。その気付きで、どのように社会が変わっていくかまで思い描いてください。また、アイデアを作っていただく際は、先ほどの『誰』をできるだけ具体的にしてくださいね」と意見を伝え、議論の方向性を整えます。

 

 

<4.問いのデザイン>

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猫田さん「良いアイデアは問いの連鎖でできています。多くの問いの連鎖から、他にはないアイデアが生まれます。また、問いの設定によって、導かれる答えは変わります。例えば……中世ヨーロッパでは排泄物を家の窓から投げ捨てていて、街の汚れが問題になっていました。『街中の排泄物から身を守るには?』という問いへの答えとして、ハイヒールが誕生したと言われています。では、問い2『家の窓から排泄物を投げ捨てないためには?』という問いならどうでしょうか。水洗トイレが導き出されますよね。このように起点は一緒でも、問いの設定によって答えが変わるんです」

 

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猫田さん「問いのデザインでは、アイデアの解像度を上げるため、幸せにしたい『誰か』のためのアイデアは、今の方向で合っているのか、問いからも探っていきましょう。問いとアイデアを何度も何度も連鎖させていきす。問いから問いに移っても大丈夫です。これから、45分間でグループワークを進めていただきたいです。今考えているアイデアの質をより高めていただきたいです。ただし、『これでこのアイデアは終わりだね』とはならないようにしてください」

ファシリテーター・田中さん「ブラッシュアップしていく時間と考えればよいですか?」

猫田さん「その通りです!では始めてください」

 

 

<アイデアを深めていく(45分)>

再び、グループ4のミーティングルームへ。

村松さん「例えば、ユニクロの店頭にドミノを置くことで、何を解決していると思いますか?もしも、店頭でそういうイベントをしていたら、見に行ったりする?」

鈴木さん「私は……多分、見ずに終わっちゃうかも」

村松さん「買い物したら、真っ白な絵馬をもらえて、そこに何かを書けるとかは?」

五島さん「友だちと一緒だったら書くけど……」

鈴木さん「デジタルだったらワンチャン書くかな?」

 

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ファーストリテイリング・松林さん「ひとりで買い物に来ているお客様、潜在的に誰かと繋がりたいお客様に提案するのは良いかもしれませんね。絵馬なのかドミノなのか……。デジタル面では、ファーストリテイリングは、着こなし・コーディネートを検索できる『StyleHint(スタイルヒント)』というアプリを提供しています。また、社会の課題を解決する取り組みになっていると、企業としてより取り組みやすいですね」と意見を伝えます。

 

 

<ドミノ?絵馬?シール?アイデアは膨らんでいく>

五島さん「なるほど……。じゃあ、今日頑張ったことを書けるシールを掲示板に貼っていくのはどう?自分が頑張ったことを、無条件に褒めてもらえるのは?」

村松さん「日常の息抜きに近いのかな」

ファシリテーター猫田さん「ワークシートに立ち戻るとしたら、どうなるかな?メインテーマは『アンステレオタイプ』ということを忘れないで。『無条件に褒められる』というのは何をアンステレオタイプにするためにあるのか、考えてみてもいいですね」

村松さん「固定化されたコミュニティの中に、偶発的なものを入れることだと思う」

五島さん「みんなが頑張るのが当たり前、みたいなのを、アンステレオタイプにするという側面もないかな?」

村松さん「物を買えるだけじゃなく、ユニクロに行くと褒めてもらえる、というのが成り立ったらいいね。スマイル0円みたいな?」

五島さん「いいね!コロナ禍で、会えるのが家族とか学校の人だけだよね。居酒屋でたまたま隣の席になった人と喋るみたいな機会がないし。身内とか学校だけだと息苦しくなるから、ちょっと喋る機会があるだけで救われる気がする」と、さまざまな意見が交り合い、少しずつ輪郭が形作られていきます。

 

 

<5.スタンスのデザイン>

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猫田さん「『アンステレオタイプ』な新しいアイデアと、それによって社会がどう変化するかは、ストーリーで伝える必要があります。なぜ、ストーリーなのか?それは、自分の中に浮かんでいるイメージ画を相手の頭にも浮かべてもらうためなんです。思いついたアイデアを『実現』するために、ストーリーとして伝える必要があります。

例えば、ルンバはどうでしょうか。

単にアイデアで伝えるなら、『丸い掃除機です』『自動で掃除をします』となりますよね。では、こちらの画像を見てください。

 

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『ご夫婦がルンバに手を振っています。お手伝いさんのようにルンバに掃除を任せて、掃除機をかけていた時間を、自分たちの時間にすることができます』とストーリーで伝えると、具体的に使うシーンも想像できますよね?任天堂のWiiはどうでしょうか。『コントローラーが棒状です』というアイデアよりも、『握りやすい棒状コントローラーなら、年齢や身体的な特徴を問わず遊ぶことができます。おばあちゃんから子どもまで、みんなで集まって楽しくゲームすることができます』と言う方が魅力的に伝わるのではないでしょうか」と実例を交えて示唆していきます。

また、発表方法も自由でいいと説きます。プレゼンテーション形式、ニュース/インタビュー形式、物語形式、CM形式、オンラインだからこそできる背景を変える、音楽を流すなど、方法もひとつの型に捉われる必要はありません。

 

<6.発表方法について考えよう(15分)>

村松さん「じゃあ、これまで話した『褒め褒め掲示板』を作っていこう。どんなイメージ?」とコラージュを作っていきます。

吉川さん「分かりやすい!」

村松さん「ZOOMの背景は、ユニクロの店舗にするね。お芝居で発表する?」と、方法をつめていきます。

 

<7.ハッカソンとは>

猫田さん「ハッカソンとは、hackとmarathonを掛け合わせた言葉。マラソンのように与えられた時間を徹してアイデアや成果を競い合う開発イベントのことを指します。最後のハッカソンでは、時間の使い方は完全にグループにお任せします。引き続き、アイデアを詰めてもいいですし、発表方法について考えてもいいです。とにかく悔いのないように最後の60分を使ってください!」とエールを送ります。

 

<8.ハッカソン(60分)>

村松さん「コロナで頑張ることが当たり前、『限られたコミュニケーションのみで生活は十分である』という流れがある中で……」

五島さん「コロナ禍の新しい生活様式のひとつとして提案したいね!」

村松さん「アナログの店舗を使うことで、見えない誰かを意識できる。その辺をうまく言いたいね。日常をもっとハッピーに過ごすため、かな」

五島さん「手書きにすることで『そこにいた人』が分かるね」

吉川さん「コロナで孤立していると、マイナスなことばっかり考えちゃう。でも、見えない人の温かみを感じられることを強調したい」と、一つひとつ、言語化しながらワークシートにまとめていきます。これまで曖昧だったアイデアが、共通認識となり、立体的になっていきます。

 

 

<9.いよいよ発表!>

60分のハッカソンを経て、各グループがプレゼンテーションを行います。

 

<グループ4/「アナログで褒め合う掲示板」>

グループ4が提案したのは、店内に「自分の頑張ったこと」を発表できる掲示板を設けること。商品をお買い上げすると、シールをもらえて、そこに「自分の頑張ったこと」を書き、貼りつけていきます。

「見えない人と励まし合うことができる掲示板です。アナログで文字を書くことで、日常で自分が頑張っていることを認識することができます。目に見えなかった誰かと関り、どこかにいる誰かと頑張れるのではないかと思いました」と堂々とプレゼン。

 

<グループ5/「高齢者向けオンラインマルチファシリティ」>

「私たちは、高齢者を対象にした施設を考えました。私のおばあちゃんは新潟に住んでいて『会えない。寂しい』とよく話しています。コロナ禍で、人との関りを減らさなければいけないとうステレオタイプな考え方が生まれています。それをアンステレオタイプに変えたいです」

そこで、ネット上の多目的施設「オンラインマルチファシリティ」を提案。オンラインで共同ショッピングが楽しめ、友だちと集まることができる空間。人と人との繋がりが深められるような場を提供したいと発表しました。

 

<グループ6/「性別と服・年齢と新たな関係性」>

高桑さん「私たちのグループは女性らしさ、男性らしさのステレオタイプに捉われている人、アンステレオタイプに自信が持てない人、自分がどのような服が好きなのか迷いがある人に提案します。我慢している人の背中を押してあげたいと考えたからです。お互いのタイプを否定するのではなく、お互いの価値観を認め合えるようにしました」

田中さん「店舗には、展示物を置きます。女性らしい丸みのあるシルエットから男性らしいかくばったシルエットまで、グラデーションで見えるようにマネキンに着せて展示します。この展示を見ることで、自分がどんなシルエットが好きなのか、自分の好みを認識してもらいたいと思います。エントランスでは、問いかけとして、考えを促すようなキャプションを置き、見る人に思考をうながします。私は丸みのあるジャケットを買おうと思っていただけれど、もっと男性らしいかくばったジャケットが好きかもしれない。そうした人も、自分の好きなものに自信を持って購入できるような展示にしたいと思います」と、具体的にビジュアルを提案しました。

 

グループ7は、「恋するすべての人が好きな人に、最高の自分を見せたい」という気持ちに着想を得て、自分の肌質に合ったマスクのサブスクを提案。グループ1は、10代後半から20代のオタク気質な人、服装には興味がない人に、ユニクロで、トータルコーディネートで変身してもらうサービスを提案。「店舗で、オタクの男の子が自分磨きでき、変身できるキッカケを作ります」と発表しました。

 

<グループ2/「サステナビリティについて」>

「ターゲットは20歳で、リサイクルに興味のない大学生です。好きなアーティストが主催するゴミ拾いイベントに参加します。イベントを通じて、ゴミが資源化され、再生された服があることを知ります。好きなアーティストと拾ったゴミを拾うことで、大学生は、地球に優しい活動を無意識でしていたというのがストーリーです」

「YouTuberがゴミ拾いイベントを行い、拾ったゴミを再生したタオルや服を販売すれば、多少高くても買ってくれると考えました。リサイクルは面倒くさいということのアンステレオタイプを実現しました」と、プレゼンテーションしました。

……と、ここで、Peatix.com共同創業者であり、最先端の教育の調査されている竹村詠美さんが発表を見ていたことが明かされます。

「こんにちは。参加させていただきありがとうございます!よくデザインされたワークショップだなと思います。発表もグループごとに特徴がありますね」とメッセージを寄せました。

 

<10.思考のワークの締めくくり。賞に輝くのは……?>

こうして、すべてのグループのプレゼンテーションが終わりました。バンタン在校生による「参加者投票賞」と「ファーストリテイリング賞」の発表です。

 

<参加者投票賞>

参加者投票賞は、グループ4「アナログで褒め合う掲示板」に決定!「発表内容も良く分かりやすい」「新しい考えで良かった」などコメントが寄せられました。

グループ代表・村松さん「頑張ってまとめたので、たくさんの方に評価されて嬉しいです」

ファシリテーター・猫田さん「『見えない誰かを意識する』というアイデアの出発点が良かったと思います」と評価しました。

 

<ファーストリテイリング賞>

ファーストリテイリング・澤田さん「ファーストリテイリング賞は、グループ6の方にお届けしたいと思います。自分らしくいたい人の背中を押すという切り口が素晴らしい。店頭に入ってからのキャプション、展示など動線までイメージできていました。個人的には、グラデーションの展示で、自分が属するところを客観的に見つけられるのがいいと思いました」とフィードバック。

グループ6・田中さん「いろんな視点が出てきました。ストーリーを編み上げることができて嬉しかったですし、話しながら気付きがありました。ありがとうございました」

 

ファーストリテイリング、ミミクリデザインなど最先端企業と共同で、新しい価値づくりに没頭したワークショップ。専攻を超えたメンバーとの絆も生まれて、良いアイデアを生み出す発想法を、体得することができたのではないでしょうか?

 

今回の「思考のワーク」は、大阪校でも開催されています。今後、東京校、大阪校の情報共有会をClubhouseで4/20(水)18:30~実施予定。

各業界で活躍するOB・OGも交えて、アイデアの種をさらに育み、形にしていきたいと思います。

ぜひ、今後の展開にもご期待くださいね。

 

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