こんにちは。バンタンゲームアカデミーです(^0^)
ゲームアカデミーでは、トップクリエイターを招いて講演会を開催しています。本日のゲストは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケット、
『夜は短し歩けよ乙女』(著・森見登美彦)カバーなどで知られる中村佑介講師(41)。
そして、中村講師とは10年来の親交があるという季刊エス・SS編集部より高橋祐美様をインタビュアーとしてお招きしました。
中村講師「イラストレーターを始めて20年くらい経ったけれど、他人の成功体験は自分の役に立たないってことはあると思います。
なので、話半分に聞いてね!」と、前置きしてから……、学生たちからの質問に一つずつ答えていきます!
——— いつ頃から、イラストを生業にしようと考えられましたか?
「20歳過ぎですね。もともとは大阪芸術大学でCGを学んでいました。
90年代当時、コンピューターは今ほど一般家庭に普及していなくて、授業で、『これ知ってるかー?』と、
先生がマウスについて解説していた時代です(笑)
描くのが好きだったので、暮らしていけるならゲームクリエイターでもデザイナーがいいなと思っていました。
大学3年生のとき、ゲーム会社の面接で『女の子が描けないとダメ』と言われて。
女の子のイラストを練習し始めたら、褒められるようになったんです。
(当時の作品を見て)あれ、結構うまい…今と比べても、技術力はそんなに変わりませんね(笑)
他の科の学生から自主公演のポスター依頼等がきて、『人から頼まれて絵を描くのって楽しいな!』と。
でも先生からは『フリーになるなら一度就職して人脈作ってから』と言われるものの、面倒くさいなーと思って。
札束の風呂に入っている画を楽天的に想い描いていましたね(笑)
でも、2〜3年は仕事がなくて、1日カレーパンか肉まん一個で生きていました。
当時360円だった銭湯にも1週間に1回行けたらいいほう。
電気やガスも止められることも」そこで、自分の画を冷静に見返すことを決意。
「学生時代は知り合いからの依頼があったのに、自分は一般企業の仕事を振られない『何か』をしてしまっているのかなー?と。
で、仮に僕がどこかの社長だと考えた時、この人には仕事をあげられないとわかったんです。
その理由はね……色が暗い!」と、断言。
「明るいイメージを打ち出さなきゃいけない広告の世界において、白と黒って……お葬式かよ!と。
注目を集めればいいと思っていたけれど、悪目立ちだったんですよね」そこで、作品の引き算をします。
「線」の個性をなくし、鮮やかな色を前に押し出していきました。
「そんな些細な部分を変えただけで、突然仕事がきだしました。
結婚式にお気に入りのパーカーで出席する人はいないように、
何を表現するか、何をやりたいかも大事だけど、広告の世界は同じくらい第一印象ってたいせつなんだなぁと痛感しました」
——— 何歳くらいから描かれているんですか?
「小さい時に皆さんが描いていた絵を、今も辞めずに続けているだけです。
絵を続けられている人は、続ける根気があり、そのときどきに楽しみを見つけ出せる人ですね」
——— SNSから創作が生まれる現代をどう思いますか?
「難しい質問ですね。なんせおじさんだから(笑)SNSはあくまでコミュニケーションの場であって、自分も他人も含めてそれ自体ではお金になりにくいと思います。
いいね!がたくさんあっても、実売が伴っているものはそんなにない。
ネットって、悪い言葉でいえば暇潰しだと思うんですよね。
要はタダなら見るけど、お金は払わないよと。
YouTubeや韓国の漫画アプリみたいに、視聴者にお金を払わせないかわりに広告をとるみたいなモデルはフィットするかもしれませんね」
—— 色はどうやって決めていますか?
「色彩学は学んでも、具体的な色選びについては、学校では言われないですよね?例えるなら……(と言って、スクリーンにトイレの入口の写真を)見てみましょう。
『おしっこ、もれるー!』という女性は右に入ろうとすると思います。
でもこれ赤いだけでよく見ると男子マークなんですよ。実はPhotoshopで加工していて、左の青い方が女子トイレです。
色を変えただけで、間違ったものを伝えてしまうでしょう?それだけ、色は重要。メッセージを伝えるのは色だけでも伝わります」
また、基本の色相環についても解説。
暖色と寒色の間に、中間色という主張しない色が存在すること、
また、それらはパッケージデザイン、コーポレートアイデンティティ、医薬品から5人組の戦隊モノまで、
ありとあらゆるものに活用されています。「色はものすごく重要!人の印象を変えますし、イメージを左右します」
———— 筆が進まない日はどうしていますか?
「これはねー無理!(笑)学生さんは、お金ももらっていないんだし、誰も褒めてくれないから…モチベが尽きたり、飽きるのが当たり前。
早く、お金をもらえるようになる!と自分のお尻をたたいて。
僕の場合は、アマチュア時代、描きたくない時は基本描かなかったかな」と、笑いを交えつつ、すべての質問に真摯に答えてくださいました!
「自分を凡才だと思うと、すべてに嫉妬ではなく尊敬する心が芽生え、足りないところが見えてきます。
みんなが思うほど難しい世界ではないと思いますし、試行錯誤していけば食べていける。
近道もその過程に眠っているんじゃないかなーと思います」と、締めくくりました。
憧れのクリエイターの頭の中は、とことんユニークかつ論理的。
受講生たちは、これからの創作に活かせるヒントを、たくさん得られたはず!