ゲームシナリオライターが教える「自分の長所を意識する」大切さ

大阪校
ゲーム学部
eスポーツ学部

こんにちは、バンタンゲームアカデミー大阪校です(*•ω•*)

本日はゲームシナリオライターの叶希一さんを講師に迎え、「シナリオライターを目指すにあたって自分の「長所」を意識する」というテーマで登壇していただきました。

 

 

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叶さんは、シナリオ制作集団オルタシウスに在籍し、これまでに『ひぐらしのなく頃に』CSシリーズや『盗天使ツインエンジェル』、『ラブライブ!~スクールアイドルフェスティバル~』といった数多くのヒット作品に関わってきました。

業界の第一線で活躍する叶さんに、シナリオライターへの道を教えていただきます。講義は叶さんがシナリオライターになった経緯からスタート。

 

 

「私は始めからゲーム業界にいたわけではなく、初めての会社は電話系の開発会社へ入社しています。SE希望だったのですが、経理などを担当する総務に配属されてしまいました。

かなりショックでしたが、ここでは法規関係などの長文を多く読む機会を得て、いまの仕事には大変役立っています。その後、コンテンツ制作の子会社の設立に参画し、そこでシナリオライターにも挑戦する機会をいただきました。

 

経験もノウハウもなかったのでかなり大変でしたけど、自分の仕事にしたいと強く思う転機にもなり、お誘いを受けて転職。そこからこの業界にいます。

いまは講師などの仕事もしていますが、正直なところ自分は独学だったので、仲間と一緒にシナリオの書き方を学んでおられる学生さんがうらやましいです。多くの仲間と切磋琢磨(せっさたくま)し、意見交換を多数行っていきましょう」

 

 

叶さんの経歴に触れたあと、話題はゲームシナリオのことに移っていきます。

 

 

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「まず、シナリオはゲーム作品における【航路図】です。作品に求められるキャラや世界観、ゲーム性などの要素を余すことなくふくめて構成するものでなければなりません。

そして数字を用いない【数式(証明問題)】でもあります。物語には【仮定(伏線)】があり、それらの正しさを証明回収することで結論へとたどり着きます。

そのため、無駄な要素や展開、脱線は全体構造をいびつにし、本質から遠ざけるので削除していきます。徹底した整合性と論理性が必要ですね」

 

 

「さらにシナリオはスパイスとも言えるでしょう。ゲームを構成する絵や音楽、プログラムといった食材の良さを引き出す『縁の下の力持ち』的な存在です。

単体でも魅力的な素材はシナリオによってより強大となります。シナリオがよくて、キャラがダサい、音楽がダサイというのはクソゲーとは言われにくいですからね。

作品の魅せ方もシナリオで変わります。いかにして内容を整えるか、ユーザーに合わせてどうアピールするか。どういうユーザーを相手にしてリリースしていくかも、シナリオの内容次第で変わりますから、シナリオはとても重要な存在です」

 

 

そこから話は実際のシナリオライターとしての仕事の内容へと進みます。

 

 

「ゲームシナリオは、クライアント会社(制作・開発・編集など)から執筆依頼を受けます。新規の場合はトライアルがあり、実際に私も受けて何度も落ちています。

トライアルは相性。ひとりでいろんなパターンは書けません。自分のパターンやセオリーがあるので、それがクライアントに合うか合わないかですね。

 

 

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依頼を受ければ、次に資料を読み込み、全体構成と傾向、大まかな流れ、自分の役割を確認します。

実はここが一番大事。1日何文字かけるとかは正直意味がありません。資料をいかに短期間で作れるか、短期間で内容を確認できるか。

文章力も必要ですが、読解力こそ必要です。例えば『ラブライブ!~スクールアイドルフェスティバル~』の場合なら、キャラや物語を知らなければ何もできない。

 

ファンがどういう人か、なにを求められているのか。そういうことをしっかりと理解し、把握する必要があります。そして次の段階で調整力、いわゆるコミュニケーション能力が求められます。

商業ライターですから、クライアントの考えや意図をくみ取る。プレイヤーがなにを求めているのかに合わせていく力が必要です。

 

具体的な作業ではプロット制作(登場キャラ、服装、背景、時間を明記)がありますね。ここではマーケティング能力が必要です。

特定のキャラを独りよがりにクローズアップするのはライターのエゴですから、書き始めるまではできる限り客観的な視点でユーザーやクライアントが求めることを形にします。そしてオチやイベントなどを考えてから、ようやくシナリオを執筆するのです」

 

 

実は膨大な作業を経て、ようやくシナリオを執筆している商業ライター。そんな大変な仕事の魅力は…と思っているとその答えを語っていただけました。

 

 

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「シナリオライターの魅力は、企画内容に自分の考えや願望、信念などを盛り込んで、キャラの魅力を引き出す<前線指揮官>としての面白さにあります。

さらに好きな作品に関われることはもちろん、原作者・スタッフの考えや姿勢から学ぶ機会を得られることも楽しいですね。加えてユーザーに喜んでもらえる満足感。

100人中1人でも共感、感動してもらえたらこれ以上の幸せはないですから。自分ひとりが楽しんでいるのではなく、共有できる喜びがあることがうれしいです」

 

 

そんな喜びや楽しさを得られるシナリオライターになるためは、必要なことがあると叶さんは語ります。

 

 

「ただ文章を書けるだけでは厳しいです。コミュニケーションを図りながら、文章にどのような要素を効率よく入れ込んでいくか。

その整合性の形成と同時に、読み手の想像力を引き出す表現技法として立体的・映像的にシーンを想定し構築する能力が必要です。

ノベルゲームが流行った時は、会話劇を重視するあまり平面的に捉えて書いてしまって、キャラとの距離感や背景の奥行きがわかりにくいシナリオも数多くありました。

 

文章は暗号です。解読して展開していく中で、映像や音楽が頭の中で流れないといけません。文章以上に、映像を意識してください。

物語を書くにあたっては、本を読むと同時にいろんな経験をしましょう。無駄なことは何一つ無いです。失恋や挫折すら物書きにとっては「創作のネタ」

それに加えて、失敗の原因を自分なりに分析して、解決手段を探すことが力になります。自分もこう乗り越えた、成功してきたというのを文章として書ける、アピールできることが読者の共感を生みます」

 

 

シナリオライターをめざす学生さんは、自分の長所を活かすことが大事だともおっしゃっていました。

 

 

「求められているものは、<あなたの作品>ではなく<時間・お金を費やしても面白い作品>。皆さんは同志ですから、自分の作品を恥ずかしがらず、どんどん見せ合ってアピールしてほしい。

その感想を聞いて、相手がこう思ったから次はこう書いていこう、というように常に自分の文章が他人にどう見られているのかを知っておきましょう。

売れている人、伸びる人は、人に見せて、その意見を聞いて、反映させていった人です。そして皆さんの長所や武器は、面白いと感じる感覚がターゲットのユーザーと一緒だということ。

ユーザーに最も近い年齢層で視点も同じ。自分が面白いと感じる感覚をどうやって伝えていくかを意識していってほしいです」

 

 

叶さんは生徒たちが一番の武器を持っていることを伝えて登壇を締めくくってくれました。

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